2026/10/20
インタビュー動画で話と人柄を引き出すには?撮影・編集とは異なる対話の技術
社員インタビューや経営者インタビューを企画するとき、「何を質問すれば、よい話が聞けるだろう」と悩む担当者の方は多いのではないでしょうか。質問項目を用意して撮影しても、答えが短かったり、会社案内に書かれているような説明だけになったりすることがあります。
インタビュー動画では、映像や音声をきれいに収録する技術に加えて、相手の言葉を受け止め、考えや経験を引き出す技術が求められます。今回は、動画の目的に合った話と、その人らしさを引き出すための「対話」について考えます。
撮影・編集と、話を引き出す技術の違い
撮影では構図や光、音を整え、編集では収録された映像や提供された素材を選び、伝わる順序に組み立てます。それぞれに専門的な判断が必要ですが、インタビューには、目の前の相手とのやり取りを通じて、これから語られる内容を深めていくという特徴があります。
質問を理解してもらい、記憶をたどってもらい、そのときの考えを言葉にしてもらう。聞き手は、その過程を相手と一緒に進めます。どれだけ撮影や編集に習熟していても、それだけで相手が自然に話せるとは限りません。
また、収録されていない経験や気持ちを、編集だけで本人の発言として補うことはできません。編集で何を伝えるかは、収録の場でどのような話を聞けたかにも左右されます。
質問が伝わらないときは、聞き方を変える
企業のインタビューでは、年齢、立場、専門分野、話すことへの慣れなどが異なる方々に話を伺います。同じ質問でも、すぐに具体例が浮かぶ方もいれば、何を聞かれているのかつかみにくい方もいます。
答えが出てこないときに、相手の理解力や話し方の問題と決めつけると、対話は進みにくくなります。質問が抽象的すぎないか、一度にいくつも聞いていないか。まずは、こちらの言葉がどう届いているかを見直します。
例えば採用動画で、「御社の風土について教えてください」と聞いて答えに迷う様子があれば、「入社したころ、先輩に助けてもらった出来事はありますか」と、思い出しやすい場面に置き換える方法があります。
反対に、専門的な説明が続く場合には、「その仕事を初めて知る学生さんにも伝わるように説明すると、どうなりますか」と聞くこともできます。相手の反応や言葉の選び方を見ながら、質問の粒度や表現を調整する。その場の判断が、聞き手に求められる技術です。
人柄は、具体的な出来事をたどる中で見えてくる
「仕事のやりがいは何ですか」という質問に、「お客様に喜んでもらえることです」と答えていただいたとします。それも大切な言葉ですが、そこからもう一歩、出来事を聞いていくと、本人ならではの経験に近づけます。
「特に印象に残っている場面はありますか」「そのとき、どんな対応をしたのでしょうか」「なぜ、その方法を選んだのですか」。こうして状況や行動、その理由を順にたどると、仕事への向き合い方や大切にしている価値観が見えてきます。
大切なのは、答えの中にある言葉を拾うことです。予定した質問を順番に読み上げるだけでは、ふと語られた迷いや、表情が明るくなった話題を通り過ぎてしまいます。聞き手自身が関心を持って耳を傾けることで、用意した項目だけでは聞けなかった話へ進める場合があります。
ただし、深く聞くことと、答えにくい話を無理に求めることは別です。考えている間は急かさずに待ち、話しづらそうな様子であれば問いを変える。安心して話せる関係をつくることも、インタビューの一部です。
動画の目的を持ちながら、答えを決めつけない
よい話が聞けても、動画の目的と離れていれば、そのまま使えるとは限りません。採用動画なら求職者が職場を理解するために、企業紹介なら事業への姿勢を伝えるために、どのような話が必要なのか。事前に発注者と制作側で共有しておくことが大切です。
質問項目は、話す内容を細かく指定する台本というより、対話の方向を確認するための道しるべになります。収録では相手の話に耳を傾けながら、必要な話題が抜けていないか、視聴者に伝わる具体性があるかを確かめます。
一方で、目的に合わせようとして「先輩が親切だから働きやすいですよね」と答えを誘導すると、本人の実感から離れるおそれがあります。「困ったとき、周りの方はどのように関わってくれますか」と、経験を自由に話せる聞き方を選びます。
伝えるべき方向を持つことと、言ってほしい答えを決めておくことは異なります。想定と違う答えが返ってきたときこそ、その背景に耳を傾ける姿勢が必要です。
インタビュー動画の依頼では、聞き手の役割も確認する
インタビュー動画を制作会社に依頼する際は、撮影機材や編集の仕上がりとともに、「誰が質問するのか」「目的を踏まえた質問設計は誰が担うのか」「答えに応じた追加質問まで任せられるのか」を確認すると、当日の役割を整理できます。
社内担当者が聞く場合には、日頃の関係や社内事情を生かせます。外部の聞き手には、社内では当たり前になっている事柄を、視聴者の目線で問い直せる面があります。出演者との関係や内容に合わせて、適した進め方を考えましょう。
インタビューの魅力は、用意した説明だけでは伝わりにくい、その人自身の経験や考え、言葉の温度を届けられることにあります。質問を準備し、相手に合わせて聞き方を変え、答えを受けて対話を深める。その積み重ねが、話と人柄の伝わる動画につながります。
アイピックスでは、企業紹介や採用動画などの映像制作を承っています。インタビューを通じて何を伝えたいか、企画段階のお悩みも含めてお気軽にご相談ください。対応する制作分野は、企業のお客様向けサービスでもご紹介しています。